設立趣旨

 

 以下は、全国ビジネス系大学教育会議の前身の「全国四系列(経営学・商学・会計学・経営情報科学)教育会議」について、元会長で現理事の齊藤 毅憲氏(横浜市立大学名誉教授)が書かれた設立の背景と趣旨です。現・全国ビジネス系大学教育会議でも、齊藤氏ら発起に携わった方々の思いを踏襲、あるいは忖度して活動しています。

 

◆「全国四系列(経営学・商学・会計学・経営情報科学)教育会議」について

 

   全国四系列教育会議は、全国経営学部長会議を母体とし、1983年、日本経営学会(拓殖大学)時を機に設立がはかられました。

 後述しますように、全国経営学部長会議という会議体が1976年に設立され、年1回会員校持ち回りの形で開催されるようになって久しくなりましたが、それは経営学部(のちに経営情報学部を含む)にメンバーシップを限定し、しかも学部長や教務主任、事務長等の教職員を中心とするものでした。このため、全国経営学部長会議が回数を重ねるにつれて、次の二つの点で考慮すべき課題が出てきました。それは、①学部長や教務担当の教職員を出席者とする会議のため、メンバーの移動が激しく、継続的・徹底的な議論の深化の意味では不充分であること、②商学部や経済学部の経営学科関係者から、メンバーに加えてほしいという要望が少なからず出てきたこと、の二点です。そこで、これらの点に対応するために設立されたのが全国四系列教育会議でありました。

 全国四系列教育会議では、従って、会員を次のように広げて柔軟に対応し、議論の深まりを期しております。すなわち会員を、①全国経営学部長会議会員校の学部長・教務主任・事務長等の役職を退かれた教職員であっても、引き続き経営学・商学・会計学・経営情報科学の教育問題について各校間で情報交換・研究をする希望を持たれる方、②役職経験とは関係なく、四系列の教育問題に関心をお持ちの教職員の方、③全国経営学部長会議会員校であるか否かを問わず、また所属学部の如何を問わず、四系列の教育問題に関心をお持ちの教職員の方、としております。「本会議の設立・活動経過」によると、この間の事情はつぎのように述べられています。

 「四系列教育会議は、1976年に設立され、同年12月に湯島会館で第1回会議が開催された『経営学部長会議』に端を発している。すなわち、経営学部長会議は、高度成長期の経営学ブームを背景に、私立大学を中心に経営学部が増設されるにつれ、カリキュラム体系、研究体制、教員交流、単位交換、就職、入試、情報化・国際化への対応、産業界との関係など、各大学の経営学部のかかえる諸問題に関して、相互に情報を交換し、研究する必要性が痛感され、設立された。しかし、その第9回会議(1983年6月)で、それを実現する具体的方策として、この教育会議が『経営・商学系分野における教育制度に関する研究会』という名称のもとに提案され、設立されたのである。この研究会の設立趣旨は、『経営・商学系分野における教育制度に関する研究や情報交換』であり、ここでの成果は経営学部長会議に反映されることを期待されたが、学部長会議の下部機関ないし小委員会といったものではなく、別組織として位置づけられた。その意味でも、この研究会への参加対象校も、経営学部に限らず、商学部、経済学部などの経営学科、商学科等にも拡げられた。この研究会のねらいは、経営学教育に強い関心と知識をもつ教職員をそこに派遣してもらい、上記分野に関して研究を進め、情報を交換し、各大学の教育改革・改善に反映させることであった。」

 さらに、つぎのようにも述べられています。「この研究会ないし教育会議は、機関代表のほかに個人資格の参加も排除せず、出席者を比較的固定化し、教育問題を継続的に研究し、その成果を交換し、四系列科目の教育現場の改善に反映させるところに、そのねらいを定めていた。そして、できれば日本学術会議での教育問題に関する議論、さらに大学設置基準の学科目の配列のあり方に対しても、一定の影響力をもちうるようになることも期待されていた。」

  会議のたちあげ役を引き受けたのが、東洋大学教授の涌田宏昭氏、慶應義塾大学教授の野口祐氏、中央大学教授の松本正徳氏、中央学院大学教授の島根秀年氏、札幌学院大学教授の藤永弘氏、神戸大学教授の奥林康司氏、阪南大学教授の大橋岩男氏、龍谷大学教授の片岡信之氏、大阪経済大学教授の濱本泰氏、神戸商科大学教授の吉田寛氏、九州産業大学教授の山川典宏氏、名古屋大学教授の小川英次氏などであり、このほかに私が含まれていました。そして、宇野政雄早稲田大学教授に会長職を依頼しました(所属大学はいずれも当時)。その後、中央大学教授の髙橋由明氏、明治大学教授の河合邦良氏、立命館大学教授の渡辺峻氏などが加わりました。

 この会議で議論された情報は、参加者各校での教育改善に様々な形で生かされ、その貢献は大きいものとなっています。 1997年の理事会で、現在の名称である「全国四系列(経営学・商学・会計学・経営情報科学)教育会議」とすることが確認され、経営学部長会議と同じように年1回、理事校となっている各大学を中心にして持ち回りで開催されてきました。そして、各回とも約50大学、100名前後の関係者が、熱心に参加されています。 上述のような趣旨から、この会議に出席される方はある程度固定化していますが、各回の統一テーマの内容次第でその回だけ出席してみたいというご希望の方も排除せず、歓迎しております。運営の仕方としては、教職員双方が参加してきた全国経営学部長会議とは異なって、全国四系列教育会議の出席者は教員が中心であり、構成としてはかなり学会に近いものになっています。そして、当然のことながら、毎回報告用の充実した資料集を作成してきました。 回を重ねるごとに、参加者には大きな刺激を与えてきたと確信しています。今後も、大学における四系列教育に関心をもつ人びとには関わっていただきたいと希望しております。

 

平成22年8月25日